ショートショート集①「消夢期限」
初のショートショート集(まとめただけです)
ジャンル
その他の文芸
作品説明・あらすじ
持ち帰ります。たったその一言から始まった。夢を持ち帰ることのできるようになった男は…「消夢期限」
たくさんの評価をもらったこの消夢期限に加えいくつかショートショートをまとめました。
目次
- あちらの世界
- さらば、宇宙人
- 奇妙な落とし物
- 消夢期限
- 物足りないよー
価格
無料
文字数
8,736文字
公開日
2020年4月4日
あちらの世界
男は窓の向こう側の太陽を見た
その瞬間だった。
一瞬、太陽に自分の姿が見えた気がした。
「そんなはずがない、何かの見間違いだ」
もう一度ゆっくり窓の外を見た。
すると今度は遠い遠い星に、自分と楽しそうに話している女性が見えた。
その女性は男が本を買うために通う店の店員さんで、男はその人に好意を持っていた。
が、もちろんそんな関係にはなく、レジで担当してもらうときでさえも緊張して「ありがとう」をいうのが精一杯だった。
そんな女性と自分が遠くの世界で話しているのだ。
これは夢でも幻でもない。
男は微かに笑っていた。
やっぱり自分の考えは間違っていなかった。
俺は出来損ないの人間なんだ。
それも、俺が悪いのではない、他の世界の俺が俺のよいところを全部持っていってんだ。
男は昔からなにもできないというわけではなかったが何か、習い事を始めてみるとやっぱり自分はその道で生きていくほどの才能はないと感じ、最終的には普通の人以下のレベルになっていた。
そしてある時から自分の才能はすべて他の誰かにとられていると思うようになったのだ。
パラレルワールドという概念はなく、自分の考えを説明できるものがひとつも...
カスタマーレビュー
評価件数(0)